トルクと馬力の違い:計算式・単位換算と5,252rpmの理由
この記事はAIの支援を受けて原文を翻訳したものです。専門用語や数式は原文とあわせて確認してください。
トルクは、エンジンが回転軸(クランクシャフト)をひねる力のことです。馬力(出力)は、その力でどれだけ速く仕事をするかを表します。両者をつなぐのがエンジン回転数で、出力 = トルク × 角速度(P = T × ω)という関係があります。単位をそろえた近道の式は、kW = N・m × rpm ÷ 9,549、hp = lb-ft × rpm ÷ 5,252です。例として、4,000rpmで300N・mを出しているエンジンなら、その瞬間の出力は約125.7kW(約171PS、英馬力で169hp)になります。
トルクと出力(馬力)は何を表すのか
トルクとは、力に、回転軸から力のかかる点までの垂直距離(腕の長さ)を掛けたものです。長さ0.5mのレンチを200Nの力で押し下げると、ボルトには200 × 0.5 = 100N・mのトルクがかかります。ボルトが固着して少しも回らなくても、100N・mのトルクはかかったままです。つまり、トルクだけでは「どれだけ仕事をしたか」は分かりません。
出力(仕事率、工率ともいいます)は仕事をする速さで、単位はワット(1W = 1J/秒)です。一定のトルクで軸が回るとき、仕事は「トルク × 回転した角度(rad)」になるので、出力は「トルク × 角速度」になります。これがP = T × ωで、直線運動のP = F × vに対応する回転版の式です。なお、N・mは基本単位で表すとJ(ジュール)と同じ形になりますが、NISTのSI解説書(SP 811)は、トルクとエネルギーは別の量であるため、トルクの単位にはジュールではなくニュートンメートルを使うと定めています。
計算式:トルクと回転数からkWや馬力を求める
スペック表のエンジン回転数はrpm(毎分の回転数)ですが、P = T × ωで使うのはrad/s(ラジアン毎秒)です。1回転は2πラジアン、1分は60秒なので、例として300N・m、4,000rpmの場合は、次の3ステップで計算できます。
- rpmをrad/sに直す:ω = 4,000 × 2π ÷ 60 ≒ 418.9rad/s。
- トルクを掛ける:P = 300N・m × 418.9rad/s ≒ 125,664W。
- 必要な単位に直す:1,000で割ると125.7kW、735.5で割ると170.9PS、745.7で割ると168.5hpです。
定数をまとめると、近道の式ができます。60,000 ÷ 2π ≒ 9,549なので、kW = N・m × rpm ÷ 9,549です。英馬力の1hpは550ft・lbf/秒、つまり33,000ft・lbf/分で、33,000 ÷ 2π ≒ 5,252なので、hp = lb-ft × rpm ÷ 5,252になります。日本のカタログで併記されるkgf・mとPSの組み合わせなら、PS = kgf・m × rpm ÷ 716.2です(例:30.6kgf・m × 4,000 ÷ 716.2 ≒ 170.9PS)。N・mからPSを直接求めるなら、PS = N・m × rpm ÷ 7,024です。
式は逆向きにも使えます。6,000rpmで150kWを出しているエンジンなら、そのときのトルクは9,549 × 150 ÷ 6,000 ≒ 238.7N・mです。
ひとつ注意点があります。最大トルクと最高出力は、たいてい別の回転数で出ます。カタログの最大トルクに最高出力の回転数を掛けても、エンジンが実際には出せない数字になるだけです。後述の例示エンジンでは、最大トルク300N・mに6,000rpmを掛けると約188kWですが、6,000rpmで実際に出るトルクは266N・mで、出力は約167kWです。
カタログのトルク・出力の単位を整理する
同じエンジンでも、市場や資料の古さによって、3系統の単位で書かれます。日本のカタログでは、現在はkWとN・mが基本ですが、旧来のPSとkgf・mをかっこ書きで併記したものが多く、「最高出力 kW(PS)/rpm」「最大トルク N・m(kgf・m)/rpm」という形で載っています。米国の資料では、hpとlb-ftが使われます。
例として「最大トルク 300N・m(30.6kgf・m)/4,000rpm」なら、4,000rpmで300N・mという意味です。かっこの中は同じトルクの別単位表記で、足し算ではありません。
| 単位 | 表す量 | SIでの値 | 主に見かける場所 |
|---|---|---|---|
| N・m(ニュートンメートル) | トルク | SIの単位 | 現行のカタログの基本表記 |
| kgf・m(キログラム重メートル) | トルク | 9.80665N・m(厳密値) | 旧来のカタログ、現行カタログのかっこ書き |
| lb-ft(ポンドフィート) | トルク | 1.355818N・m | 米国 |
| kW(キロワット) | 出力 | 1,000W | 現行のカタログの基本表記 |
| PS(仏馬力) | 出力 | 735.49875W(75kgf・m/s) | 日本の「馬力」、欧州・アジア |
| hp(英馬力) | 出力 | 745.6999W(550ft・lbf/s) | 米国、英国 |
日本で「馬力」といえば、通常はPS(仏馬力)を指します。計量単位令(e-Gov法令検索)の第11条は、仏馬力の定義をワットの735.5倍と定めています。表の735.49875Wは75kgf・m/sからの計算値で、法令上は735.5Wちょうどです。一方、英馬力(hp)は745.7Wなので、PSとhpは数字が同じでも別の量です。
便利な比は、1kW ≒ 1.360PS ≒ 1.341hp、1PS ≒ 0.986hpです。つまり、PSの数字は同じ出力をhpで表した数字より約1.4%大きくなります。トルクは1kgf・m ≒ 7.23lb-ftなので、300N・mは30.6kgf・m、221.3lb-ftに相当します。
トルク曲線・出力曲線の読み方
エンジンダイナモ(動力計)で回転域ごとのトルクと回転数を測り、出力曲線はP = T × ωで計算して描きます。図3は例として作ったエンジンで、トルクは4,000rpmで300N・mの最大値になります。そこから先はトルクがゆるやかに下がりますが、回転数の上昇のほうがトルクの低下より速いため、出力は6,000rpm付近の約167kWまで伸び続けます。出力が下がり始めるのは、トルクが急に落ち込んでからです。
- 最大トルクとその回転数:低い回転域で太いトルクが出ると、シフトダウンしなくても反応よく加速できます。ターボ付きエンジンはトルクの出方が平らなので、最大トルクを「1,500~4,500rpm」のように幅で示すことがよくあります。
- 最高出力とその回転数:エンジンが出せる最大の出力です。変速機でこの回転数の近くを保つと、もっとも強く加速できます。
- 出力曲線の幅:広い回転域で力強く走れるかどうかを表します。日常の運転では、ひとつのピーク値よりも重要です。
なぜトルクと馬力の曲線は5,252rpmで交わるのか
米国のダイノチャート(動力計のグラフ)では、トルク(lb-ft)と馬力(hp)の線が必ず5,252rpmで交わります。この回転数で、エンジンの中に特別なことが起きているわけではありません。hp = lb-ft × rpm ÷ 5,252なので、回転数が5,252のとき、2つの数字は必ず等しくなります。それより低い回転ではトルクの数字のほうが大きく、高い回転では馬力の数字のほうが大きくなります。例示エンジンでは、この点で約210lb-ft、約210hpです。
単位を変えれば、交点も動きます。N・mとkWなら9,549rpm、N・mとPSなら約7,024rpm、kgf・mとPSなら約716rpmです。5,252rpmまで回らないエンジンでは、この交点はグラフに現れません。
ギアでホイールトルクがエンジントルクより大きくなる理由
変速機は、速度とトルクを交換する装置です。1段減速するごとに、トルクは減速比の分だけ増え、回転数は同じ比で減るので、摩擦損失を除けば出力は変わりません。例として、1速のギア比を3.5、最終減速比を4.0(総減速比は14)とします。すると、4,000rpmで300N・mのエンジントルクは、駆動輪の車軸で最大4,200N・m、回転数は約286rpmになります。出力は損失を考えなければ125.7kWのままです。
ある車速での加速を決めるのが、エンジンのトルクではなく出力なのは、このためです。駆動力 = 出力 ÷ 速度なので、時速100km(秒速27.8m)では、125.7kWの出力が車を押せる力は、どのギアを選んでも最大約4.5kNです。
よくある質問
トルクと馬力はどちらが重要ですか?
どちらか一方だけでは決まりません。出力は、ある速度でどこまで加速できるかの上限を決めます。トルク曲線の形は、その出力を、ギアを替えずにどれだけ楽に引き出せるかを示します。ピークの数字だけでなく、曲線全体を比べましょう。
ディーゼルエンジンはなぜトルクが大きいのに馬力は控えめなのですか?
ディーゼルエンジンは、一般にトルクを低い回転数で出し、ガソリンエンジンより早く回転が頭打ちになります。出力はトルク × 回転数なので、トルクの数字が大きくても、使える回転域が低ければ、出力の数字は抑えられます。
回転数なしでN・mを馬力に換算できますか?
できません。トルクと出力は別の量なので、エンジン回転数が必要です。hp = N・m × rpm ÷ 7,121、PSなら PS = N・m × rpm ÷ 7,024で求められます。lb-ftに直してから5,252で割っても、hpが得られます。
hp、bhp、PSは同じですか?
厳密には同じではありません。ブレーキ馬力(bhp)は、従来、動力計でクランク軸の出力を測った値で、単位は745.7Wの英馬力です。仏馬力(PS。欧州ではcvやchとも書きます)は735.5Wなので、200PSは約197hpになります。
参考資料:NIST「SI利用ガイド」(SP 811)付録B.9:換算係数(英語)、NIST「SI利用ガイド」(SP 811)第4章:SI単位とSI接頭語(英語)、OpenStax『大学物理学 第1巻』10.8 回転運動の仕事と仕事率(英語)、JAF クルマ何でも質問箱「最高出力と最大トルクはなにが違うのですか?」。
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